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==ワクチンの効果「vaccine efficacy」とは,「接種しなかったので感染した人数」から「接種したけど感染した人数」への「割引率」==
本題に入る前に,ワクチンの「効果」を知っておきましょう.

「このワクチンを接種すると95%の予防効果がある」とは具体的にどういう意味なのか?

ワクチン学では,ワクチンの効果を「'''vaccine efficacy''', '''VE'''」と呼びます.<br>
私の知る限り定まった日本語訳はないようです.直訳すれば「ワクチン効果」ですが,あまり見かけない表現ですね.<br>
私は英略称のまま「VE」と呼んでいます.

Vaccine efficacy, VEの単位は「'''%'''(パーセント)」です.

EBMを学んだ方向けの表現をすれば,こういうことです.<br>
何のことはない,'''相対リスク減少 RRR'''のことなんですね.
{{quote
|content=
ワクチンの効果 vaccine efficacy (VE)
=接種群のプラセボ群に対する'''相対リスク減少(%)'''
}}

噛み砕いて言えば,こうですね.
{{quote
|content=
ワクチンの効果 vaccine efficacy (VE) とは,<br>
「'''接種しなかったので感染した人数'''」から<br>
「'''接種したけど感染した人数'''」への<br>
「'''割引率'''」
}}

例として,新しいワクチンの治験に未感染者20,000人が参加し,10,000人が実薬群,10,000人がプラセボ群に割り付けられたとします.
{|class="wikitable"
|-
!割付
!割付人数
|-
!実薬群
|align="right"|10,000
|-
!プラセボ群
|align="right"|10,000
|}

接種後に一定期間観察したところ,実薬群では5人が感染したのに対し,プラセボ群では100人が感染しました.
{|class="wikitable"
|-
!割付
!割付人数
!感染者数
!感染率
|-
!実薬群
|align="right"|10,000
|align="right"|5
|align="right"|5/10,000=0.05%
|-
!プラセボ群
|align="right"|10,000
|align="right"|100
|align="right"|100/10,000=1.00%
|}

実薬群の感染率 5/10,000=0.05% は,プラセボ群の感染率 100/10,000=1.00% に比べて,95%の減少,つまり「95%割引」です.
{|class="wikitable" style="min-width:550px;"
|-
!割付
!割付人数
!感染者数
!感染率
!感染率の減少度合い=割引率
|-
!実薬群
|align="right"|10,000
|align="right"|5
|align="right"|5/10,000=0.05%
|align="middle" rowspan="2"|(1.00 - 0.05)÷1.00<br>=0.95 ('''95%''')
|-
!プラセボ群
|align="right"|10,000
|align="right"|100
|align="right"|100/10,000=1.00%
|}

この「'''95%'''」が,ワクチンの効果 '''vaccine efficacy, VE'''なんですね.<br>
ワクチンを接種することで「'''感染リスクが95%割り引かれる'''」と言うこともできます.割引率95%の超お値打ち品ということです.

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