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==更新履歴==
*2021年7月15日 作成
*2021年7月18日 一部表現を修正
 
==免疫グロブリン immunoglobulin と抗体 antibody==
「抗体 antibody」という用語からは,多くの医療職が下記の構造の分子を思い浮かべることでしょう.
左右対称の構造には,H鎖 heavy chain(図の<span style="color:royalblue;">'''青色'''</span>と<span style="color:khaki;">'''黄色'''</span>) と L鎖 light chain(図の<span style="color:lightgreen;">'''緑色'''</span>と<span style="color:hotpink;">'''赤色'''</span>)があります.より長く分子量がより大きい(重い heavy)H鎖は,左右一対で「Y」の字のような形を作っています.より短く分子量がより小さい(軽い light)L鎖は,「Y」の上側を挟むように付いています.
===抗原結合部位 antigen-binding region,可変領域 variable domain,定常領域 constant regiondomain===
冒頭で述べたとおり,「免疫グロブリンという分子」には「抗体という機能」が備わっています.抗体はもちろん抗原に結合する能力を持っています.
!style="width:7em;"|H鎖<br>アイソタイプ
!style="width:8em;"|免疫グロブリン<br>クラス
!style="width:12em15em;"|重合体
|-
|γ ガンマ
|IgG
|*単量体 monomer
|-
|μ ミュー
|IgM
|五量体 *分泌型:五量体 pentamer<br>※B細胞表面では単量体*B細胞受容体として:単量体
|-
|α アルファ
|IgA
|二量体 *粘膜分泌型:二量体 dimer<br>※血清中では単量体*血中分泌型:主として単量体
|-
|δ デルタ
|IgD
|*単量体 monomer
|-
|ε エプシロン
|IgE
|*単量体 monomer
|-
|colspan="3"|[[file:免疫グロブリンクラス (CC BY NC SA 3.0).png|400px450px]]
|}
===免疫グロブリンのクラスと発現部位および機能===
免疫グロブリンはクラスごとに人体内での発現部位と機能が異なることがわかっています.前述のとおり免疫グロブリンはクラスごとに異なる重合体で存在しますが,さらに,ヒト体内での発現部位と機能も異なります. 免疫グロブリンを産生する細胞は,B細胞およびその終末分化である形質細胞ですね.よって,免疫グロブリンの発現部位は,B細胞および形質細胞が体内で分布している部位と連動します.:B細胞は産生した免疫グロブリンを自らの細胞表面に発現し(細胞膜から生えている状態),免疫グロブリンは抗原に対する受容体として機能します.この場合免疫グロブリンはB細胞受容体 B cell receptor とも呼ばれます.:形質細胞はB細胞が分化成熟したもので,免疫グロブリンを細胞表面でなく細胞外へ分泌(放出)します.分泌された免疫グロブリンは血中や組織内で遊離状態で存在し,侵入する抗原に結合します.:B細胞も形質細胞も,1つの細胞はただ1種類の特異的な免疫グロブリンを産生します.ヒトが例えば1,000種の抗原に対する抗体すなわち免疫グロブリンを産生できるとしたら,異なる1,000種のB細胞および形質細胞を持っていることになります.   {|class="wikitable" style="min-width:500px;"
|-
!style="width:7em;"|H鎖<br>アイソタイプ
!style="width:8em;"|免疫グロブリン<br>クラス
!style="width:12em15em;"|重合体
!style="width:12em;"|発現部位
!style="width:20em;"|機能
|γ ガンマ
|IgG
|*単量体 monomer
|
*血中
|μ ミュー
|IgM
|五量体 *分泌型:五量体 pentamer<br>※B細胞表面では単量体*B細胞受容体として:単量体
|
*血中
|α アルファ
|IgA
|二量体 *粘膜分泌型:二量体 dimer*血中分泌型:主として単量体
|
*粘膜分泌物
|δ デルタ
|IgD
|*単量体 monomer
|
*血中
|ε エプシロン
|IgE
|*単量体 monomer
|
*肥満細胞および好塩基球の細胞表面

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