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{|class="wikitable" style="min-width:500px;"
|-
!style="width:8%8em;"|ワクチン
!引用
!style="width:8%8em;"|初出日
|-
!AstraZeneca
!Johnson&Johnson
|[https://www.jnj.com/johnson-johnson-covid-19-vaccine-authorized-by-u-s-fda-for-emergency-usefirst-single-shot-vaccine-in-fight-against-global-pandemic Press Release: Johnson & Johnson COVID-19 Vaccine Authorized by U.S. FDA For Emergency Use - First Single-Shot Vaccine in Fight Against Global Pandemic]
|2021年2月27日
|}
 
==ウイルスベクターワクチンのヒト初実用化はエボラワクチン==
致死率が50%を超える極めて病原性の強い出血熱ウイルス,エボラウイルス.
 
特に,[https://ja.wikipedia.org/wiki/2014%E5%B9%B4%E3%81%AE%E8%A5%BF%E3%82%A2%E3%83%95%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%82%A8%E3%83%9C%E3%83%A9%E5%87%BA%E8%A1%80%E7%86%B1%E6%B5%81%E8%A1%8C 2013年から始まった西アフリカでの大流行]ではアフリカ大陸から全世界へと広がるのではと人類は脅威に晒されました.
 
しかしその西アフリカ大流行をきっかけに開発されたエボラワクチンは,後に極めて高い効果が証明されました.
 
このエボラワクチン rVSVΔG-ZEBOV はウイルスベクターワクチンです.世界で初めてヒトに実用化されたウイルスベクターワクチンは,エボラワクチンだったのです.<br>
新型コロナワクチンがヒト実用化2例目にあたります.
 
===エボラワクチンの開発===
エボラウイルスの発見が1976年,ワクチン開発が動物実験レベルで始まったのは2005年でした.前述のとおりウイルスベクターワクチンで,[https://en.wikipedia.org/wiki/RVSV-ZEBOV_vaccine rVSV-ZEBOVワクチン](rVSVΔG-ZEBOVとも)と呼ばれました.
 
これが緊急治験の形でヒトに本格的に投与されたのは,[https://ja.wikipedia.org/wiki/2014%E5%B9%B4%E3%81%AE%E8%A5%BF%E3%82%A2%E3%83%95%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%82%A8%E3%83%9C%E3%83%A9%E5%87%BA%E8%A1%80%E7%86%B1%E6%B5%81%E8%A1%8C 2014年をピークに西アフリカで大流行した際]が初めてでした.しかし致死率が50%を超える病原体であることから倫理的理由によりプラセボ群を設定せず,実薬群のsingle armのみの治験でした.それゆえに,治験結果は疑問視されました.
 
次の[https://en.wikipedia.org/wiki/Kivu_Ebola_epidemic 2018年のコンゴ民主共和国での大流行]では,効果が疑問視されたままのエボラワクチンを人道的使用 compassionate use として投与しています.この使用実績を2019年に解析したところ,接種者のエボラ発症が未接種者に比べて[https://www.who.int/csr/resources/publications/ebola/ebola-ring-vaccination-results-12-april-2019.pdf 97.5%抑えられていた(VEが97.5%だった)]ことが判明し,ようやく効果が実証されました.
 
それを踏まえ,WHOは2019年,[https://www.who.int/news/item/12-11-2019-who-prequalifies-ebola-vaccine-paving-the-way-for-its-use-in-high-risk-countries rVSV-ZEBOVに事前認証 prequalification] を与えました.
 
WHOによる事前認証とは,薬剤や医療機器等を自国で検証することが困難な国・地域向けにその品質や安全性を国際機関として担保する制度のことで,“WHOによるお墨付き”に相当します.
 
WHO事前認証に至るまで,ヒト治験開始の2014年から数えても'''5年''',動物実験レベルからは14年,病原体発見からは43年が経過しています.
 
==AstraZeneca治験かんたんまとめ==
Sputnik Vがまだ2回接種後の full analysis を発表しておらず,Johnson&Johnsonも論文化されていないことから,本ページではAstraZeneca(Oxfordワクチン)の治験 phase 3 についてのみ記述します.
 
{|class="wikitable"
|-
!
!AstraZenecaワクチン
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!参加者
|valign="top"|
*18歳以上(最高齢,平均,中央値記載なし)
*除外基準は明記なし
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!投与法
|valign="top"|
*実薬:次のいずれか
**1回目低用量LD→2回目標準量SD
**1回目標準量SD→2回目標準量SD
***LD:2.2×10<sup>10</sup>含有
***SD:5.0×10<sup>10</sup>含有
*プラセボ:髄膜炎菌ワクチンACWY
**安全性解析対象では一部生理食塩水
*2回接種;4-12週以上
*筋注(三角筋)
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!COVID発症の予防効果
|valign="top"|
''2回目接種14日後以降のCOVID発症''
{|class="wikitable"
|-
!style="width:50%;"|実薬LD→SD群
!style="width:50%;"|プラセボ群
|-
|align="middle"|3人<hr>1,367人
|align="middle"|30人<hr>1,374人
|-
!colspan="2"|Vaccine Efficacy (95%信頼区間)
|-
|colspan="2" align="middle"|90.0% (67.4-97.0)
|}
 
{|class="wikitable"
|-
!style="width:50%;"|実薬SD→SD群
!style="width:50%;"|プラセボ群
|-
|align="middle"|27人<hr>4,440人
|align="middle"|71人<hr>4,455人
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!colspan="2"|Vaccine Efficacy (95%信頼区間)
|-
|colspan="2" align="middle"|62.1% (41.0-75.7)
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!重症COVIDの予防効果
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!有害事象
|valign="top"|
*重篤有害事象は死亡含めて両群間に明らかな偏りはない
*実薬群2回目接種14日後に発生した横断性脊髄炎1件はワクチンとの関連の可能性がある
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