Hepatitis A A型肝炎

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病原体 Pathogen

A型肝炎とは [Internet]. 感染症の話. 国立感染症研究所 感染症疫学センター; 2004 [cited 2019Dec22]. Available from: https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/320-hepatitis-a-intro.html

A型肝炎ウイルス
属名 ピコルナウイルス科へパトウイルス属 Picornaviridae, Hepatovirus
種名 A型肝炎ウイルス Hepatovirus A (Hepatitis A virus)
ウイルス粒子 径27nmの正20面体
ノンエンベロープ
ウイルスゲノム 単鎖RNA

感染症法・検疫法

感染症法
(感染症として)
感染症法
(病原体として)
検疫法
法令上の指定 四類感染症(法第6条第5項第2号 (指定なし) (指定なし)
法令上の措置 法第12条に基づく全例届出疾患(届出基準 (措置なし) (措置なし)

感染経路

ヒト-ヒ ト感染 ヒトーヒト以外
空気
飛沫核
性行為 男性間性的接触で増加中 経口
糞口
糞口,汚染食物
飛沫 血液 注射薬物使用者での感染あり ベクター:
虫類
接触 垂直
母子
ベクター:
動物

世界での疫学

WHO. WHO position paper on hepatitis a vaccines – June 2012. Weekly epidemiological record [Internet]. 2012Jul13;87(28-29):261–76. Available from: https://www.who.int/wer/2012/wer8728_29.pdf?ua=1

世界における1990-2005年の疫学

  • A型肝炎は世界中に分布
  • 糞口感染→衛生環境が劣悪な地域に多く,上下水道が適切に整備されている地域で少ない
推定感染者 死亡者
1990年 1億7,700万人 30,283人
2005年 2億1,200万人 35,245人
増加の主因は2-14歳および30歳以上の増加によるものと推定

日本での疫学

感染症発生動向調査年別一覧表 [Internet]. 国立感染症研究所 感染症疫学センター; Available from: https://www.niid.go.jp/niid/ja/ydata.html

感染症法第12条に基づく全例届出の年別最終報告(上記リンク先で「四類感染症」をクリック)

国立感染症研究所 [Internet]. IASR 40(9), 2019【特集】 A型肝炎 2015年~2019年3月現在. [cited 2019Oct3]. Available from: https://www.niid.go.jp/niid/ja/hepatitis-a-m/hepatitis-a-iasrtpc/9107-475t.html

日本における2015-2019年3月の疫学

  • 2000-2017年:年平均266例(115-502例)
  • 2018年:926例と前年までより増加

2015-2019年3月の計1,839例について

国内感染 輸入感染 感染地特定困難
1,556例(84.6%) 256例(13.9%) 27例(1.5%)
主な推定感染地
フィリピン 58
タイ 22
台湾 20
韓国 15
インドネシア 14
カンボジア 14
インド 13
ベトナム 13
パキスタン 12

Griffith M, Fukusumi M, Kobayashi Y, Matsui Y, Nishiki S, Shimbashi R, et al. Epidemiology of vaccine-preventable diseases in Japan: considerations for pre-travel advice for the 2019 Rugby World Cup and 2020 Summer Olympic and Paralympic Games. Western Pacific Surveillance and Response Journal [Internet]. 2018;9(2):26–33. Available from: https://www-ncbi-nlm-nih-gov.remote.jikei.ac.jp/pmc/articles/PMC6053105/

2019ラグビーW杯・2020東京オリパラに備えての日本でのVPDの疫学(2018)
集計期間 総患者数 罹患率 罹患率年別変動 男性割合 最頻世代(%)
2006-2015年 2,245人 0.18人/10万人年 0.10-0.34 58% 25-64歳(72%)

潜伏期間,感染期間

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症状,病態生理

糞口または経口感染後,2-6週間の潜伏期を経て発症する.
高熱,倦怠感に加え,食欲不振,嘔吐,腹痛などの消化器症状,頭痛,筋肉痛などの肝外症状もしばしば伴う.
血清検査ではトランスアミナーゼ(AST, ALT)などの逸脱肝酵素が著明に上昇し,画像検査上は肝腫大が認められる.
肝障害の進行に伴い,黄疸,濃色尿,灰白色便なども伴うようになる.
特異的な治療法はなく,支持療法で自然治癒を待つが,快復までに1-2ヶ月を要する.また逸脱肝酵素の正常化には3-6ヶ月かかることもある.

慢性化はせず,快復後は終生免疫を得て,予後良好である.
ごく稀に劇症肝不全(劇症肝炎)に至り致命的となることがあるが,頻度は0.1%未満とされる[1]

診断

急性期に血清でIgM-MAV抗体の上昇を確認することで診断となる.
IgM-MAV抗体は発症から1ヶ月でピークに達し,3-6ヶ月後に陰性化する.

発症後2週間以内の血液または糞便検体から,RT-PCR法でウイルスRNAを検出することでも診断は可能である.

治療

特異的な治療法はなく,支持療法が主体となる. 安静のために入院治療となることが一般的である.

予防,ワクチン

参考文献

  1. Adhami T, Hanouneh I. Hepatitis A [Internet. Hepatitis A – An evolving disease. Cleveland Clinic, Center for Continuing Education; 2014 [cited 2018Feb1]