「コロナワクチン ワクチンの効果 Vaccine Efficacy とは」の版間の差分

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2021年3月27日 (土) 01:54時点における最新版

新型コロナワクチン総目次
総論
コロナワクチン_開発と承認の状況
コロナワクチン_ワクチンの製法
コロナワクチン_ウイルス遺伝子の接種に理論的危険性はない
コロナワクチン_抗体依存性感染増強(ADE)について
コロナワクチン_社会的配慮について
コロナワクチン_リンク集
治験+承認後研究
コロナワクチン_ワクチンの効果 Vaccine Efficacy とは
コロナワクチン_mRNAワクチン-治験
コロナワクチン_mRNAワクチン-承認後研究
コロナワクチン_mRNAワクチン-アナフィラキシー
コロナワクチン_ウイルスベクターワクチン-治験
コロナワクチン_ウイルスベクターワクチン-承認後研究
コロナワクチン_今わかっていること,まだわからないこと
接種の実際
コロナワクチン_日本の法令上の根拠
コロナワクチン_日本での接種体制
コロナワクチン_三角筋への筋注手技
コロナワクチン_人口集団別の接種可否の考え方
コロナワクチン_高齢者
コロナワクチン_妊婦
コロナワクチン_挙児希望女性
コロナワクチン_授乳婦および授乳児
コロナワクチン_小児
コロナワクチン_アナフィラキシー既往
コロナワクチン_免疫低下状態・悪性腫瘍患者
コロナワクチン_出血傾向患者
コロナワクチン_新型コロナ既感染者
コロナワクチン_接種スケジュールの遵守
コロナワクチン_異なるワクチン製剤間の互換性
コロナワクチン_他のワクチンとの接種間隔

更新履歴

日付 更新内容
2021年1月19日 一般公開

ワクチンの効果「vaccine efficacy」とは,「接種しなかったので感染した人数」から「接種したけど感染した人数」への「割引率」

本題に入る前に,ワクチンの「効果」を知っておきましょう.

「このワクチンを接種すると95%の予防効果がある」とは具体的にどういう意味なのか?

ワクチン学では,ワクチンの効果を「vaccine efficacy, VE」と呼びます.
私の知る限り定まった日本語訳はないようです.直訳すれば「ワクチン効果」ですが,あまり見かけない表現ですね.
私は英略称のまま「VE」と呼んでいます.

Vaccine efficacy, VEの単位は「%(パーセント)」です.

EBMを学んだ方向けの表現をすれば,こういうことです.
何のことはない,相対リスク減少 RRRのことなんですね.

ワクチンの効果 vaccine efficacy (VE) =接種群のプラセボ群に対する相対リスク減少(%)

噛み砕いて言えば,こうですね.

ワクチンの効果 vaccine efficacy (VE) とは,
接種しなかったので感染した人数」から
接種したけど感染した人数」への
割引率

例として,新しいワクチンの治験に未感染者20,000人が参加し,10,000人が実薬群,10,000人がプラセボ群に割り付けられたとします.

割付 割付人数
実薬群 10,000
プラセボ群 10,000

接種後に一定期間観察したところ,実薬群では5人が感染したのに対し,プラセボ群では100人が感染しました.

割付 割付人数 感染者数 感染率
実薬群 10,000 5 5/10,000=0.05%
プラセボ群 10,000 100 100/10,000=1.00%

実薬群の感染率 5/10,000=0.05% は,プラセボ群の感染率 100/10,000=1.00% に比べて,95%の減少,つまり「95%割引」です.

割付 割付人数 感染者数 感染率 感染率の減少度合い=割引率
実薬群 10,000 5 5/10,000=0.05% (1.00 - 0.05)÷1.00
=0.95 (95%)
プラセボ群 10,000 100 100/10,000=1.00%

この「95%」が,ワクチンの効果 vaccine efficacy, VEなんですね.
ワクチンを接種することで「感染リスクが95%割り引かれる」と言うこともできます.割引率95%の超お値打ち品ということです.

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