「コロナワクチン 高齢者」の版間の差分

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===高齢者:各国での指針===
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以下に各国政府等の指針をまとめます.
 
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====ノルウェーでの高齢者接種後死亡はワクチンとの因果関係なし====
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===ノルウェーでの高齢者接種後死亡はワクチンとの因果関係なし===
 
ノルウェーにおいて「施設入所中の高齢者のうち23人が,新型コロナワクチン接種後1週間以内に死亡した」と一部報道にありました.
 
ノルウェーにおいて「施設入所中の高齢者のうち23人が,新型コロナワクチン接種後1週間以内に死亡した」と一部報道にありました.
  

2021年3月27日 (土) 02:47時点における版

新型コロナワクチン総目次
総論
コロナワクチン_開発と承認の状況
コロナワクチン_ワクチンの製法
コロナワクチン_ウイルス遺伝子の接種に理論的危険性はない
コロナワクチン_抗体依存性感染増強(ADE)について
コロナワクチン_社会的配慮について
コロナワクチン_リンク集
治験+承認後研究
コロナワクチン_ワクチンの効果 Vaccine Efficacy とは
コロナワクチン_mRNAワクチン-治験
コロナワクチン_mRNAワクチン-承認後研究
コロナワクチン_mRNAワクチン-アナフィラキシー
コロナワクチン_ウイルスベクターワクチン-治験
コロナワクチン_ウイルスベクターワクチン-承認後研究
コロナワクチン_今わかっていること,まだわからないこと
接種の実際
コロナワクチン_日本の法令上の根拠
コロナワクチン_日本での接種体制
コロナワクチン_三角筋への筋注手技
コロナワクチン_人口集団別の接種可否の考え方
コロナワクチン_高齢者
コロナワクチン_妊婦
コロナワクチン_挙児希望女性
コロナワクチン_授乳婦および授乳児
コロナワクチン_小児
コロナワクチン_アナフィラキシー既往
コロナワクチン_免疫低下状態・悪性腫瘍患者
コロナワクチン_出血傾向患者
コロナワクチン_新型コロナ既感染者
コロナワクチン_接種スケジュールの遵守
コロナワクチン_異なるワクチン製剤間の互換性
コロナワクチン_他のワクチンとの接種間隔

更新履歴

日付 更新内容
2021年3月26日 一部追記
2021年2月14日 一般公開

治験における高齢者

3ワクチンとも治験参加者に高齢者が含まれています.ただし,年齢階層ごとの割合は治験論文にはあまり明確に書かれていません.

Pfizerコミナティで55歳以上が42.3%,Modernaで65歳以上が24.8%AstraZenecaで70歳以上が3.8%と,集計の仕方もバラバラです.

どの治験論文でもSupplement/Appendixで年齢階層別のサブグループ解析をしており,高齢者でも差は検出されています.

有害事象についても,疼痛や発熱等の反応性症状は高齢者の方が低頻度でした.高齢者に限定的かつ因果関係が疑われる有害事象も報告されていません.

ざっくりした話としては,3ワクチンは高齢者でもCOVID発症予防効果があり,接種をためらうような有害事象も増えない,と期待できるでしょう.

また,高齢であるほどCOVIDによる重症化や死亡のリスクが階段状に跳ね上がることは周知のとおりです.

以上により,3ワクチンの高齢者への接種をためらう大きな理由は今のところないと言えるでしょう.

ただし,日本で対象者が多数に及ぶと思われる70代,80代,90代のような各高齢者層での真の効果と安全性については,治験結果だけから確実に判断することは困難です.

さらに虚弱高齢者や超高齢者の場合,発熱や筋肉痛程度の“軽微な副反応”であってもQOLを大きく阻害してしまう可能性も否定できません.後述するノルウェーの事案のように,接種後の死亡や重篤疾患発症という「紛れ込み」も発生し得ます.

また一般論として,ワクチンの効果は高齢になるほど低下することが他の複数のワクチンで示唆されています.

COVIDハイリスク群だからこそ積極的に接種を検討すべきですが,副反応によるQOL低下や紛れ込みのリスク,効果が低下するリスクまで丁寧に説明して同意を得るべきでしょう.

高齢者:日本での指針

厚生労働省は新型コロナワクチン接種についてのお知らせにおいて,65歳以上の高齢者を医療従事者等に次ぐ優先順位の接種対象者としています.

自治体向け通知・事務連絡等」に掲出されている事務連絡等においても,高齢者入所施設等での接種の準備等に言及しています.

高齢者:承認済みワクチンの添付文書記載

日本で承認済みの新型コロナワクチンの添付文書では下記のように記載されています.

開発元 日本での製品名 添付文書の記載
Pfizer コミナティ筋注 9.8 高齢者
接種にあたっては、問診等を慎重に行い、被接種者の健康状態を十分に観察すること。一般に、生理機能が低下している。

高齢者:各国での指針

以下に各国政府等の指針をまとめます.

米国 高齢者を含む接種年齢上限について特に言及なし
英国 80歳以上も含めて全高齢者が高優先順位の接種対象
カナダ 85歳以上などの超高齢者での効果が不明瞭であること,一般論として高齢であるほどワクチンによる免疫獲得能が低下することには言及しつつ,接種年齢上限には言及なし
オーストラリア 高齢者は施設入所者>80歳以上>70歳以上の順に優先接種対象
シンガポール 高齢者は優先接種対象
ノルウェー 接種対象者自体を65歳以上高齢者または合併症のある成人に限定
スウェーデン 高齢者を含む接種年齢上限について特に言及なし
イスラエル 高齢者を含む接種年齢上限について特に言及なし

ノルウェーでの高齢者接種後死亡はワクチンとの因果関係なし

ノルウェーにおいて「施設入所中の高齢者のうち23人が,新型コロナワクチン接種後1週間以内に死亡した」と一部報道にありました.

これについてノルウェー政府は,「国立公衆衛生研究所およびノルウェー医学会による調査の結果,23人の死亡と新型コロナワクチン接種の間に因果関係を示唆するものはない」旨を,2021年1月21日付で発表しています.
死亡した23人の高齢者はいずれも重い合併症があったこと,統計学的解析により新型コロナワクチン接種が死亡を増加させるとは言えないこと,ノルウェーの高齢者入所施設では毎週300人超が亡くなること,に言及しています.

No indication of causal relationship between COVID-19 vaccination and death (Date: 21/01/2021)

いわゆる「紛れ込み」(ワクチン接種直後に別の原因による有害事象や死亡が偶然重なること)と考えられます.

ノルウェーの事案を理由に,施設入所高齢者への新型コロナワクチン接種をためらう必要はないでしょう.

ただし,施設入所者をはじめ高齢者はもともと疾病リスク,死亡リスクが高いため,紛れ込みが生ずる可能性についても丁寧に説明する必要があります.これは新型コロナワクチンに限らずすべてのワクチンで注意すべきことです.