差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
19世紀~20世紀初頭の化学研究は電気泳動などが主流だったようです.
ヒトの血清を電気泳動したところ,ある程度のかたまりがいくつか観察されたので,ギリシャ文字を使って命名したんですね.ヒトの血清を電気泳動したところ,ある程度のかたまりがいくつか観察されたので,ギリシャ文字を使って命名したんですね.アルファは早い段階で1と2に細分化されました.
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/2/26/Electrophoresis.png
なおこの時代の電気泳動技術では,分子量に従った分別はできなかったようです.つまりアルファ~ガンマは分子量(重さ)順ではありませんし,現代の科学技術では各グロブリンの中に種々の異なる分子量のタンパク質が混ざり合っていることがわかっています.
そして次項で解説するとおり,ガンマグロブリンが免疫(抗体反応)に強く関わっていることが20世紀の研究で明らかとなりました.
{|class="wikitable"
|-
!rowspan="89" style="width:5em"|タンパク質|rowspan="56" style="width:9em"|球状タンパク質<br>globular protein
| style="width:9em"|グロビン<br>globin
|-
|アルブミン<br>albumin
|-
|アルファグロブリンアルファ1グロブリン<br>alpha alpha1 globulin|-|アルファ2グロブリン<br>alpha2 globulin
|-
|ベータグロブリン<br>beta globulin
|膜タンパク質<br>membrane protein
|}
 
そして次項で解説するとおり,ガンマグロブリンが免疫(抗体反応)に強く関わっていることが20世紀の研究で明らかとなりました.
==免疫グロブリン発見と分類の歴史==
===アルファおよびベータグロブリンからの免疫グロブリンの発見===
====IgM の発見と命名====
1944年,Waldenstr&ouml;m,Pederson および Kunkel が,多発性骨髄腫の患者の血清から新たな免疫グロブリンを発見しました.
現代では,多発性骨髄腫はB細胞(Bリンパ球)が腫瘍化して増殖する病態であることがわかっています(B細胞リンパ腫).B細胞とはもちろん抗体を産生する細胞ですね.つまり,現代の分類に従えば,1944年の研究対象だった患者は「IgM型多発性骨髄腫」だったようです.
同時に,1939年の研究で発見された免疫グロブリンは,それを含んでいたガンマグロブリンの頭文字 ====IgG の命名====1939年の研究で発見された免疫グロブリンは,IgM の命名と時期を同じくして,それを含んでいたガンマグロブリンの頭文字 G をとって「IgG」と命名されました.「G」の由来はガンマグロブリンだったんですね.この点でも,「ガンマグロブリン」と「免疫グロブリン」は用語として明確に使い分けるべきです.をとって「IgG」と命名されました.「G」の由来はガンマグロブリンだったんですね.:この点でも,「ガンマグロブリン」と「免疫グロブリン」は用語として明確に使い分けるべきです.
====IgA の発見と命名====
さらに研究が進み,IgG と IgM は共にガンマグロブリンおよびベータグロブリンからも発見されました.一方で,ガンマおよびベータには「IgG でも IgM でもない免疫グロブリン」が混ざっていることがわかってきました.
それらはいったん「β<sub>2A</sub>グロブリン」および「γ<sub>1A</sub>グロブリン」と命名されますが,後に統一されて「α免疫グロブリン」そして「IgA」に変名されます.「α/A」が選ばれた理由は,変名当時に確立された命名規則に従ったためのようですが,詳細は不明です.
:ややこしいのですが,この「α」はアルファグロブリンとは関係ありません.また,アルファグロブリンからは最終的に免疫グロブリンが発見されることはありませんでした.

案内メニュー