コロナワクチン 他のワクチンとの接種間隔
総論 | ||||||
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治験+承認後研究 | |||||||
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更新履歴
日付 | 更新内容 |
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2021年2月16日 | 一般公開 |
他ワクチンとの接種間隔(同時接種含む)の一般論
一般にどんなワクチン同士も,複数種類を身体の異なる部位に同時に接種することができます(小児肺炎球菌ワクチンと成人肺炎球菌ワクチン,無脾小児における小児肺炎球菌ワクチンと髄膜炎菌ワクチン,などのごく一部の例外を除く).
また,注射による生ワクチン同士を互いに4週間以上(日本の行政的表現では27日以上)空ける以外は,一般にどのタイプの組み合わせであっても互いの接種間隔に制限はありません.
ただし上記の原則は,それぞれの組み合わせで厳密に臨床研究等を行った結果に基づくものではなく,ワクチン学的および免疫学的理論に,長年の世界的な経験の積み上げた考え方によるところが大きいです.
新型コロナワクチンと他ワクチンの間隔は現状では保守的に考える
今回のmRNAワクチンはヒト実用化が初めて,ウイルスベクターワクチンもエボラ用という特殊な用途を除けば広範な実用化という点ではやはり初めてです.
よって,他ワクチンとの同時接種や短い間隔での接種によって,3ワクチンの効果や他ワクチンの効果,さらには安全性がどうなるかは,全く不明と言わざるを得ません.
これらを踏まえ,米国CDC-ACIPの指針では他ワクチンとは「最低14日以上の間隔」を空けて,英国Greenbookの記載(PDF12ページ)では「最低7日以上の間隔」を空けて接種するよう示しています.
もちろん,米国の14日も英国の7日にも明確な科学的根拠はありません.免疫学の原理に基づいた「念のため」であったり,未知も含めた有害事象の判定の混乱を避けるための「念のため」であったりという事情です.
緊急時は他ワクチンとの間隔は無視すべき
ただし,「念のため」を上回るべき緊急の事情が生じたならば,他ワクチンとの同時接種や短い間隔での接種も検討すべきです.
例えばCOVIDワクチン接種予定に重なって麻疹アウトブレイクが発生したり,COVIDワクチン接種3日後に汚染外傷を生じたため破傷風トキソイド接種が必要になった等の事情では,互いの接種間隔は無視して積極的に双方のワクチンを接種すべきでしょう.