コロナワクチン mRNAワクチン-治験
総論 | ||||||
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治験+承認後研究 | |||||||
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更新履歴
日付 | 更新内容 |
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2021年1月19日 | 一般公開 |
mRNAワクチン2製剤
mRNAワクチンはPfizer/BiONTech社製(日本名「コミナティ筋注」)とModerna社製の2製剤があります.
mRNAワクチンがヒト用に実用化されたのはこれら2製剤が史上初めてです.
本ページではmRNAワクチン2製剤の治験を対比しながら解説します.
それぞれの治験の phase 3 論文は下記です.
ワクチン | 引用 | 初出日 |
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Pfizer コミナティ筋注 |
Polack, Fernando P., Stephen J. Thomas, Nicholas Kitchin, Judith Absalon, Alejandra Gurtman, Stephen Lockhart, John L. Perez, et al. “Safety and Efficacy of the BNT162b2 MRNA Covid-19 Vaccine.” New England Journal of Medicine 383, no. 27 (December 31, 2020): 2603–15. https://doi.org/10.1056/nejmoa2034577. | 2020年12月10日 |
Moderna | Baden, Lindsey R., Hana M. El Sahly, Brandon Essink, Karen Kotloff, Sharon Frey, Rick Novak, David Diemert, et al. “Efficacy and Safety of the MRNA-1273 SARS-CoV-2 Vaccine.” New England Journal of Medicine, December 30, 2020. https://doi.org/10.1056/nejmoa2035389. | 2020年12月30日 |
mRNAワクチン治験かんたんまとめ
2製剤の治験論文の主要なところを整理します.
Pfizer コミナティ |
Moderna | |||||||||||||||||
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参加者 |
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投与法 |
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COVID発症の予防効果 |
2回目接種7日後以降のCOVID発症
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2回目接種14日後以降のCOVID発症
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重症COVIDの予防効果 |
接種後時期を問わない重症COVID
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2回目接種14日後以降の重症COVID
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有害事象 |
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一見してわかるとおり,両ワクチンの治験は非常に似通った結果となっています.
かつ,2回目接種直後(7日or14日後以降)のCOVID発症予防について,vaccine efficacy, VE は95%前後と極めて優れた結果を示しました.
加えて,重症COVIDについても約90%超の VE を示し,少なくとも治験期間中の観察においては,抗体依存性感染増強 ADEの懸念を跳ね返しました.
有害事象については,両ワクチンとも「ワクチンとして当然予想される接種部位疼痛や発熱などの反応性症状」が実薬群で多く観察されたのみで,ワクチン関連が疑われて注意を要する重篤有害事象はほぼありませんでした.
一言で言えば,「効果が期待できて,重篤または接種をためらう有害事象が観察されないワクチンを,よくぞこの短期間で実用化までこぎつけたものだ」と感嘆するレベルです.
以下,より詳細に検討します.
mRNAワクチン治験:対象者
Pfizer コミナティ |
Modernaワクチン | |
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年齢 |
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背景 |
など |
など |
除外基準 |
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対象人数 |
Per protocol解析対象:
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Per protocol解析対象:
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mRNAワクチン治験:投与方法
Pfizer コミナティ |
Modernaワクチン | |
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実薬 |
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プラセボ |
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接種スケジュール |
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投与経路 |
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mRNAワクチン治験:効果(エンドポイント)と有害事象の検証方法
以下の表ではすべて「実薬群ではプラセボ群に比べて」を省略しています.
Pfizer コミナティ |
Moderna | |
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一次エンドポイント |
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二次エンドポイント |
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予想される有害事象 |
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その他の有害事象 |
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mRNAワクチン治験:効果 Vaccine Efficacy
下表において「平均追跡期間」はいずれも論文中にはありません.論文中に記載された人年/人日と解析対象人数/at risk人数から,サイト管理者が逆算したものです.
両ワクチンも「2回目の7/14日後以降」という極めて短期間でエンドポイントを見ているため,予防効果がどれぐらいの期間続くのか予想できません.せめて2回目接種からCOVID発症までの平均追跡期間を見ることで,「60%や95%というVEが保たれるのは平均で少なくともどのぐらいの期間か」を考えることができます.
もちろん,両論文ともKaplan-Meier法による累積発症グラフを掲載しており,そちらの方が視覚的にわかりやすいです.是非ご参照ください.著作権の関係でグラフを本ページに転載することができないため,代わりに平均追跡期間を計算した次第です.参考程度にお考えください.
Pfizer コミナティ |
Moderna | |||||||||||||||||||||||||
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一次エンドポイント |
2回目7日後以降のCOVID発症
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2回目14日後以降のCOVID発症
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二次エンドポイント |
接種後時期を問わない重症COVIDの減少又は増加
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2回目14日後以降の重症COVIDの減少又は増加
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mRNAワクチン治験:有害事象
PfizerとModernaを比較すると,Modernaの方がワクチン反応性症状がかなり多く出ている傾向があります.
しかし,被験者からの報告方法,症状の登録方法などが両治験で同一ではないため,集計上の見かけの数字に差があるのは自然なことです.
また,mRNAとしての抗原量はPfizerで1回あたり30μg,Modernaで100μgとなっています.両者の抗原の分子量の測定法の差異までは私は確認できていないのですが,数字を額面どおり受け取るならばModernaの方が抗原量が多い可能性があります.もしそうならば,ワクチン反応性症状がModernaで多くなった理由になるかもしれません.
いずれにせよ,両者の違いの詳細については,プロトコル論文やphase 1論文を別途精読する必要があります.
Pfizer コミナティ |
Moderna | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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予想される有害事象 |
各接種7日後以内のワクチン反応性症状
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各接種7日後以内のワクチン反応性症状
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その他の有害事象 |
2回目1ヶ月以内の有害事象・6ヶ月以内の重篤有害事象
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2回目28日以内の有害事象
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