コロナワクチン アナフィラキシー既往
総論 | ||||||
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治験+承認後研究 | |||||||
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更新履歴
日付 | 更新内容 |
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2021年2月16日 | 一般公開 |
アナフィラキシー既往歴,その他のアレルギー既往歴
アナフィラキシーに関しては,各国政府の指針云々よりも,アレルギー学,ワクチン学,救急医学および医療安全学に則って,個別に方針を考えるべきでしょう.
整理すると下表のとおりです.
なお表作成に当たっては,米国CDC-ACIPの指針および英国Greenbookの記載(PDF15ページ)も参考にしました.
1 | COVIDワクチンの1回目接種でアナフィラキシーが生じた患者 | 2回目接種は絶対禁忌
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2 | 過去に,COVIDワクチンと共通する添加剤を含む他の薬剤で,アナフィラキシーが生じた患者 | 共通する添加剤を含むCOVIDワクチンの接種は絶対禁忌 |
3 | 過去に,COVIDワクチンと共通する添加剤を含まない他のワクチンで,アナフィラキシーが生じた患者 | 禁忌ではないが要注意者として,未知の機序によりCOVIDワクチンでもアナフィラキシーが生ずる可能性を充分に説明し,接種する場合は事後の観察と救急処置の準備を万全にして慎重に行う |
4 | 過去に,ワクチン以外の薬剤または食物で,アナフィラキシーが生じた患者 | アナフィラキシーの既往がない患者と基本的に同程度の注意でCOVIDワクチンを接種できるが,既往がない患者と同程度のリスクでアナフィラキシーが起きることは丁寧に説明し,事後の観察と救急処置の準備を万全に行う (*)アトピー性皮膚炎,アレルギー性鼻炎,花粉症,気管支喘息など |
5 | アナフィラキシー以外の機序によるアレルギー性疾患の既往がある患者(*) |
補足説明です.
- ※COVIDワクチンによるアナフィラキシーの頻度はこちらを参照してください.
1. は説明するまでもなく当然のことですね.
2. については,アナフィラキシー既往のある患者で必ず原因物質を詳細に特定できているとは限りません.添加剤が原因なのか薬剤/ワクチンの主成分が原因なのか不明なままのアナフィラキシー患者も一定数います.
よって,アナフィラキシー原因薬剤の添付文書等で添加剤をよく確認し,接種予定のCOVIDワクチンの添加剤と1つでも共通する物質があれば2.を適用する,という対応が無難でしょう.
3. については,前項と同様に,アナフィラキシー原因ワクチンの添付文書等で添加剤をよく確認し,COVIDワクチンと共通する添加剤がないことを確かめます.
その上で,未知の機序によるCOVIDワクチンでのアナフィラキシーの可能性と,接種対象者のCOVID感染リスクおよび重症化リスクを天秤にかけて,接種すべきか否かを対象者本人とよく協議して決断する必要があります.
接種すると決断した場合は,アナフィラキシー時の救急処置の備えも万全にした上で,接種後30分間等の充分な観察が必要です.
添加剤の詳細は次節で論じます.
4. は意外に思われるかもしれませんが,COVIDワクチンに限らず,ワクチン接種全般に共通する注意点です(※ただし,ゼラチンアナフィラキシー者でのゼラチン含有ワクチンや,鶏卵アナフィラキシー者での黄熱ワクチンは,2.を適用します).すなわち,添加剤含めてワクチン以外によるアナフィラキシーの既往があっても,それ自体がワクチンによるアナフィラキシーのリスクを明らかに増大させるわけではありません.
しかし,アナフィラキシーの既往自体で対象者本人が不安に感じるのは当然ですし,接種医が警戒するのも当然のことです.
また,既往がなくともCOVIDワクチンによるアナフィラキシーリスクはあります.
よって,本人の不安に応える説明を十分に行い,アナフィラキシーに対する当然の備えを万全にした上で,接種することが必要でしょう.
5. も意外に思われるかもしれませんが,一口にアレルギーと言ってもかなり幅が広い現象です.アナフィラキシーとアトピー性皮膚炎は異なる病態ですし,アレルギー性鼻炎に寄与するのがⅠ型アレルギーであってもアナフィラキシーという全身性の病態とは異なります.
そもそもそれらアレルギー性疾患を持つ人は今や人口の数10%を占めます.花粉症の自覚がないという人の方が少ないぐらいでしょう.それでも3ワクチンによるアナフィラキシー頻度は100万接種中2.5-17.1件とごく低頻度です.アナフィラキシーではないアレルギー性疾患の既往は,アレルギー既往がない人と同程度の注意での接種が可能なのです.
もちろん,4.と同じく,アナフィラキシーに対する備えを万全にした上で接種するのは,当然のことです.
承認済みワクチンの添付文書記載の有効成分および添加剤
日本で承認済みのワクチンには添付文書に下記のとおり記載されています.
開発元 | 日本での製品名 | 有効成分 | 添加剤 |
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Pfizer | コミナティ筋注 |
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上記のうち,灰色で示した成分は生体内物質またはごく日常的な物質であることから,アナフィラキシー原因として極めて考えにくいでしょう.
注意すべきは,赤背景で示した成分です.
有効成分であるトジナメランとは,ワクチンのmRNAそのものに与えられた名前です.
アナフィラキシーで特に注意すべきは,ポリエチレングリコール(PEG)です.
PEGは種々の食品や化粧品,薬剤に含まれており,アナフィラキシー原因物質として知られています.
さらに,同じく薬剤添加剤として他薬で使用実績があるポリソルベートはPEGと交叉抗原性があることがわかっています.
ポリソルベートでアナフィラキシー歴がある患者はPEGでもアナフィラキシーを起こす可能性があり,逆もまた真なりなのです.
PEGまたはポリソルベートを含む薬剤,物質によるアナフィラキシー既往がある患者は,上表の2.を適用して,Pfizerコミナティについては絶対禁忌とせざるを得ません.
かつ,Moderna, AstraZeneca両ワクチンについては,上表の3.を適用し,充分な説明に基づく決断と,接種する場合の万全の準備が必要です.
なお3ワクチンとも,鶏卵,ゼラチン,その他動物由来成分は含んでいませんし,ラテックスも含んでいません.
アレルギー:承認済みワクチンの添付文書記載
開発元 | 日本での製品名 | 添付文書の記載 |
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Pfizer | コミナティ筋注 | 2. 接種不適当者(予防接種を受けることが適当でない者)
8. 重要な基本的注意
9.1 接種要注意者(接種の判断を行うに際し、注意を要する者)
11.1 重大な副反応
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